【作品レビュー】見なくていい!実写版「ピノキオ」

くらし
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こんにちは、普通の人よりはちょっと詳しいディズニー映画好きのメローネです。

ディズニープラスで9月8日から配信された実写版映画「ピノキオ」を、見てみました。

「ガッカリ。見なくて良い。」が正直な感想でした。

アニメ版と実写版の違い、良かったところなどを詳しく記録します。

完全なネタバレですので、これから見ようと思っている方は読まないことをお勧めします。

率直な感想

見終わった瞬間に出た言葉は

わたし
わたし

何これ

でした。

基本的にはディズニー映画肯定派なのですが、今回ばかりは全然しっくりこなかったです。

がっかりポイント

・実写版ならではのひねりが全くない
・ピノキオの頼りなさが消えて、賢いし運動もできる
・ブルーフェアリーの登場が1回
・人間になるところまで映らない
・エンディングが、ゼペットを翻弄した末の幻想のようにも見える

実写版ならではの良いひねりが全くない

実写版といえば、シンデレラ(2015)美女と野獣(2017)アラジン(2019)が劇場で公開されとても素晴らしかったです。

アニメの軸は残しつつ、若干ストーリーが変わった上で強いメッセージが伝わってきました。

同じ作品名の映画を見ているにしても、次はどういう展開?

どうやって進んでいくんだろう?とワクワクがとても楽しかった。

ところが「ピノキオ」は、変なアレンジが加えられた原作のアニメ

良く捉えれば忠実で素晴らしい!と言えるのかもしれませんが、

どうして同じものを見させられているのだろう?という感じがしました。

わざわざ実写版として制作する必要あったのかな?

そして実写の定義も微妙です。

実写なのは人間と背景だけなのでゼペット、ストロンボリ、不良の子供たちくらいです。

ほぼCGなのに実写版になるのかなぁ。

ピノキオの頼りなさが消えて、賢いし運動もできる

アニメより賢い

ストロンボリ(ピノキオが出演させられた人形劇団の団長)に鳥籠に閉じ込められてしまい、
嘘をつくと鼻が伸びていくシーン。

アニメ版
ブルーフェアリーが登場し、ジミニーに

「どうしてこうなってしまったのか、正直に言いなさい

とアドバイスされたにも関わらず、ブルーフェアリーに対して嘘をつき続ける。

そこでブルーフェアリーに「嘘はつき続けると大きくなり、隠せなくなる」と諭され、

「もう嘘はつかない、良心に従うと約束しなさい」鼻を元に戻してもらい、

鳥籠の鍵を開けてもらうという、セカンドチャンスを得る大切なシーンです。

実写版
ジミニーに嘘をつき、嘘をつくと鼻が伸びることに気づいたピノキオは、
それを逆手にとってわざと嘘を話し続け伸ばした鼻の先で遠くに置いてあった鳥籠の鍵をゲット、脱出する。

鼻が便利道具になってしまいました。

ピノキオといえば、嘘をつくと鼻が伸びる、ですよね。
「嘘はつき続けると大きくなり、隠せなくなる」というブルーフェアリーの言葉は、子供にとっても、大人にとってもギクっとする言葉です。

このシーンからその大切な重みがなくなってしまったことが残念でした。

アニメより体力がある

クジラから海で逃げるシーン。

アニメ版
溺れそうになったゼペットじいさんを抱え、一生懸命泳いで逃げる。

実写版
ゼペットじいさんの乗った船の破片をバタ足で押して漕いでいく。

ものすごいスピードで、モーターの様に。

はい、既視感。

ミスター・インクレディブル」に登場する息子のダッシュがやっていましたね。

ブルーフェアリーの登場が1回

アニメ版
①冒頭ピノキオに命を吹き込み

②ストロンボリに鳥籠に閉じ込められた時、嘘はいけないとリマインドした上で助けてくれ

③エンディング、色々あったけど頑張りましたね、と声だけ登場しピノキオを本物の子どもにしてくれる

この3回登場します。

実写版
①のピノキオに命を吹き込むシーンの1回のみ登場。

では、ブルーフェアリーの再登場なしに本物の子供になれたのか?
それは次でお話しします。

人間になるところまで映らない

何が一番嫌だったかというと、こちらのエンディング。

アニメ版
クジラからなんとか逃げ切り浜に打ち上げられたゼペットじいさん。

ピノキオはうつ伏せに海に浮かんでおり、助かるのは難しそうな様子。

シーンはゼペットじいさんの部屋に移ります。

ベッドに寝かされた意識のないピノキオを前に

ゼペットじいさん、金魚のクレオ、猫のフィガロ、ジミニー・クリケットが揃って涙を流す。

そこでブルーフェアリーの声が聞こえ、「起きなさいピノキオ」と

ピノキオの体が魔法の光に包まれ、本物の人間の姿で目を覚ます。

みんな大喜びでハッピーエンド。

ストーリーの冒頭、動けない木のピノキオに対して「起きなさい」と、命を吹き込みました。

そしてエンディング、動ける様になったピノキオに対して「起きなさい」と人間の命を吹き込む。

この2つがセットでお話が綺麗に纏まっています。

実写版
クジラではなく「海の怪物」から、命からがら逃げ延びて打ち上げられた浜辺。

ピノキオ意識あり。ゼペットじいさん意識なし。

ピノキオはゼペットじいさんに、一生懸命「死なないで」と語りかける。

「星に願いを」を歌いながら、涙を流す。

その涙がゼペットじいさんの頬に落ち、水色に光る。

そして、ゼペットじいさんは生き返る。

ちょっと待って。

再びの既視感。

塔の上のラプンツェル」と同じ展開です。

(自分を助けようと命を落とすフリンライダーに向けて、傷が治る歌を泣きながら歌い、
その涙がフリンの頬に落ち、金色に光る。そして、フリンは生き返る。)

息を吹き返したゼペットじいさんは、これまでの勇敢なピノキオを讃えます。

アニメではとにかく子供が欲しかったためピノキオを制作したゼペットじいさんですが、
実写版では息子を亡くし、その身代わりとしてピノキオを制作していました。

なので、「本物の子供」の意味が木なのか生身の人間なのかではなく
ゼペットじいさんにとっての「本物の子供」として扱われ、

「君はわたしの本物の子供だ、変わってほしいところなんてひとつもないよ」

と伝えます。

木だろうが人間だろうが、容姿ではなく、「本物」の定義はそれぞれの人が心で決めればいいもの、というメッセージだと思うのですが、

木の人形が、人間になるために困難を乗り越え、少しずつ成長していくお話だったはずなのになぁとすっきりしません。

エンディングが、ゼペットを翻弄した末の幻想のようにも見える

お互いに「I love you」を伝えあった後、

「連れて帰ってあげる!」とピノキオがいいます。
(和訳では家に帰ろう)

今いる場所は、クジラに追いかけられ打ち上げられた浜辺。

自分達が今どこにいるかわからないので、

「帰ろう」というピノキオにゼペットじいさんは「帰り道がわかるのか?」と聞く。

そしてピノキオは自信満々に

「あの光の方へ!」と

青白く光る洞窟に向かい、ゼペットじいさんの手を引いて歩き始める。

ここで急に絵がスケッチ調に切り替わるのですが、

ピノキオがゼペットじいさんを得体の知れない場所に連れていくように見えるんです。

どこへ連れて行かれるのだろうかという恐怖。

ピノキオが帰宅しないことで、心がはち切れそうなほどの心配をし(心労)、

今まで誰にも売らずに大切にしてきたカラクリ時計を一斉に売り払い(破産)、

そのお金で船を購入し、

老体に鞭打って助けに行った先の海でクジラに飲み込まれ、

荒れ狂う波の中で死にかけ(恐怖)、

せっかく助かったのに、最後には家に帰れない。

そんな風に見えました。

人間になるところまで映らない2

ピノキオがゼペットじいさんの手をひき、洞窟に入っていく絵のシーンで

ジミニークリケットのナレーションが入ります。

物語はさまざまに語り継がれ、実際に人間の子供になったとも言われています。
本当かって?どうでしょう。
わたしにわかるのは1つだけ。ピノキオの心はどんな人間の子にも負けない正真正銘の「本物」だってことです。

実写版「ピノキオ」

結局「本物の子供」になってないの???

良かったポイント

もちろん、全部が全部がっかりだった訳ではありません。

トム・ハンクス演じるゼペットじいさん

見た目はお年寄りだけど、ものすごい意志と体力を持ち合わせたゼペットじいさんの役に、力強いトム・ハンクスはピッタリだと思いました。

海でピノキオに再会した時のお腹から出る大声はさすがです。

街並みが美しい

イタリアが舞台となっている、ピノキオが学校へ向かう街並みがとても美しいです。

石畳の道や、レンガ色の建物、バルコニーに飾られた草花などまさにヨーロッパの街並み。

ディズニーシーを思い浮かべる方も多いと思います。

プレジャーアイランドが楽しそう

小さい時に見たアニメでは、「プレジャーアイランド」がただただ怖い場所というイメージがあり、

魅力を感じることはありませんでした。

なんであんなところに行きたいんだろう?と。

でも、実写版ピノキオのプレジャーアイランドは、

イルミネーションで輝き、花火が打ち上がるアミューズメントパーク。

ベネチアのゴンドラに乗り水の上を進んだり、それが観覧車に変わったり、ジェットコースターに変わったりと、

目眩くシーンが変わっていくところが「魅惑」って感じでした。

ここに行って頭がおかしくなっちゃうのなんかわかるかも。

ゼペットじいさんの作ったカラクリ時計

これは本当に萌えポイント!

ゼペットじいさんの作ったカラクリ時計が一斉に動き出すシーンがあるのですが、

最初に写るのがトイ・ストーリーのウッディです。

ご存知の通り、ウッディの声優を務めたのはトム・ハンクスですので、制作者側の愛を感じます。

他にもカラクリ時計には、
・ドナルド
・ロジャー・ラビット&ジェシカ・ラビット
・マレフィセント&オーロラ姫
・ダンボ
・シンバ&ラフィキ
・白雪姫&魔女

などが登場します。

ピノキオの映画より後発の作品も出てくるところが遊び心があっていいですよね。

ディズニー好きにはたまらないシーンでした。

まとめ

本当にどうしようもないピノキオが、ゼペットじいさん・ジミニー・自分が望む

「本物の子供」になれるよう誘惑に戦いながら少しずつ成長していくストーリーのはずなのに、

「本物の子供」の定義がすり替わったことにより、

それなりに善悪がわかるピノキオが冒険をし、

結局アニメの「本物の子供=生身の人間」になったことが見届けられない

不完全燃焼感が残る作品でした。

ディズニーといえば、見終わった時の善悪のはっきりしたハッピーエンドが特徴なのに、

なんだかもやっとが残り後味が悪かったです。

なんでもかんでも実写版にすればいいってものでもないこともわかった作品でした。

この後、公開・制作が発表されている「リトル・マーメイド」や「白雪姫」はどうなるのでしょうか。

主役が人間だから、アラジンのような素晴らしい作品になることを願います。

では!!




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